日本では一概に調香師と呼ばれるこの職業は、海外では“パフューマー”と“フレーバリスト”に分けられます。パフューマーとはすなわち香水分野の香りのクリエイターで、フレーバリストとは食品分野(ガムなどを思い浮かべると分かりやすい)の香りをクリエイトする職業です。加工食品が定着している近年、フレーバリストは職業として確立していますが、パフューマーに関しては、はっきりと芸術性が求められることも相まって門戸は極端に狭く、さらに生計を立てる域にまで及ぶパフューマーは一握りです。特に、海外ではパフューマーとフレーバリストの比率が1:2であるのに対し、日本では1:5と需要の幅が大きく、日本で調香師を目指そうとなると相当に厳しい状況だといえましょう。
一流のパフューマーになると、数千種類の香りを嗅ぎわけ、一度嗅いだ香りを忘れない特性を持ち合わせます。彼らは日々何万という香りを嗅ぎながらそれを記憶し、自身の鼻と創造力で気が遠くなるような細かい調合を繰り返し、望むところの香りを創造していきます。ちなみに、パフューマーのほとんどはどこかしらの香料会社に所属しており、香料会社と依頼先(ブランド)との会社単位 の取引の中で香水製作の仕事を得るのがほとんどです。フリーランスのパフューマーはほんの一握りで、さらにゲラン社の血族調香師やシャネル社の専属調香師のように、ブランドに直接身を置けるパフューマーは限られています。 作家や画家、音楽家などと同様、パフューマーは芸術家の部類に属するといわれています。
香りという目に見えないものを通して自身の中にある観念的世界を表現し、さらに世々に認められるようになるのは並大抵のことではないでしょう。知識と感性は言わずもがな、忍耐力と香りに対する情熱を誰よりも持ち合わせている者だけが、次に紹介する「鼻(ネ )」の称号を得るのです。
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